トレルドの話2


 ご無沙汰です。私は元気です。

 最近、自分の筆の遅さにうぎゃーとなっております。
 いえ正確には執筆速度じたいは遅くなくて、書き出すのが遅いかんじなのですが。
 ――なんというか、ちゃんと読んでくださってる方がいるのに、このペースは申し訳ないなと。
 その分良いモノを書こうと頑張りますので、気長に待っていただければ幸いです。

 今回は二次創作のルドルフについておもいを馳せようかな……。
 トレルドSS界隈はルドルフへのファンの愛着がとても強いと感じています。
 私は初めてトレルドを書いた後、他のお方のSSを読み漁って焼かれたタイプなのですがキャラクターへの向き合い方をもう一度考え直そうと思わされたほどでした。

 

 ◇

 

 それで、なんとなく、お勧めのSSを上げていこうと思うのです

『月を見て、君を想う』
『君越しの、月を見る』(來アユムさん)

 アユムさんの多幸感あふれるやりとりが素晴らしいのです。
 寝る前に読むとじんわり心が温まる話。
 さいきん私は、心が温まる話の価値と言うものにすごく気付かされました。
 ダークでお耽美な香りのするぬめっとした闇に生息する私ですが、
 今ではすっかりアユムさんのファンです。

 定期的に私の心にカリッカリの幸福を縫い付けていかれるお方なのですが。
 いや、これはほんとうにすばらしいです。
 真夜中に読んで悶えさせられました。
 
 個人的にお気に入りのシーン。

>近づいてきた彼がコツリと額を合わせる。吐息にさっき飲んだコーヒーの香りを感じる距離で小さく二人は笑った。
>手すりに置かれたトレーナーの手に、ルドルフは自分の手を重ねた。少しひんやりとした手の甲に自分の手のひらの熱を移す。

 やんぬるかな……。
 言葉が柔らかすぎて、もう心のガーゼだろうか?
 ご存知かもしれませんが私はこの手の表現にめっぽう弱い。
 こころのさわり方、好きすぎます。
 この二人が結んできた恋の手触りがもう。
(シリーズものを読んだ方ならわかるはず!)
 言葉には広がりがあって、幅もあって。感情はさらに立体的で曖昧なんです。

 ルドルフの生い立ちをおもうと、彼女は嫌というほど悲しいことを見てきたはずなのに、その心はそれに負けて捻じ曲がってしまうことも慣れて鈍感になってしまうこともない。
 みんなを幸せにしたい。
 彼女は初めて他人の痛みに触れたときの共感を、正しい弱さをいつまでも失わないでいるような子です。

 トレーナー君はそうやって張り詰めたルドルフを少しずつ奪っていきます。一人じゃないように。
 そうしてルドルフの空いた所に、埋め合わせるかのように彼が入っていく。気がついたら心のどこを見たってお互いの存在が目について離れない。
 アユムさんが描く物語のルドルフは、そんな優しいまどろみの時間を見せてくれます。
 トレーナー君がルドルフをおもえば、ルドルフはトレーナー君をおもう。
 なんちゅう、ゆかしさ。
 簡単に言うと、ほんとうにもう、ルドルフかわいい。
 
 
 紹介ではなく私のお気持ちばかり。
 人さまの作品をいつも四重にして考えてしまう。
 感情を持て余して空転。いつもそんな感じ、ですけれど。

 でも、このお方ならいつだって想像は優しい。心の葛藤だって優しいガーゼみたいに描かれるから安心して読める。もう大好きです。

 思えば、これだけ強くキャラがファンの心情に絡んでいるジャンル故に、読み手の心を動かす作品が生み出されていたんだなぁと。
 みんなルドルフ大好きで、ルドルフが幸せになるところが見たい。
 私だってそうなのですがまだまだ浅くて私の技術不足なところ。
 
 今回はこんな所で。
 また次もトレルドの話と感想をかきたいです。